マーモットカフェ(マーモットの保護活動)

マーモットカフェ(マーモットの保護活動)

久しぶりに今の気持ちを綴ります。

このブログを見ている方は、僕が今までブログに綴っていたことを見てくださっている方や、マーモットに対する愛をお持ちだったり、マーモットカフェに疑問を感じている方だと思います。

ここにたどり着いた方々に、知っていただければそれだけで十分です。
この問題に、本気で向き合っていただける方に知ってもらえるだけで、マーモットの未来は大きく変わります。

マーモットカフェ、僕にとってはマーモットの保護施設です。
じゃあなぜマーモット保護施設「マーモット村」にしなかったの?と言われるかもしれません。これには大きな理由があります。

このブログを見る前、マーモットについて深く考える前に、マーモットに対してどういう印象がありましたか?大草原にいてご飯をもらって食べている姿?海外の人に飼われていてシャワーをされている姿が可愛い様子?人間らしく、むちむちもふもふした存在?どれも真実です。どの子達も、一生懸命、その環境で生きている子達です。

マーモットには2種類の子達がいます。
ひとつは自然下で太陽の光を浴びながらも、天敵から身を隠し、越冬のために脂肪を蓄え、生命活動を全うしようとする子達。
一歩では、飼育下で室内や半室内で、太陽すら見れず、閉ざされた空間で生きる子達。そこから販売されて、ワンちゃんや猫ちゃんのように可愛がられる子もいれば、食料にされたり、家畜にされてしまう子もいます。

現在、海外には輸出を行うマーモットのブリーダーが3社あります。オランダ、アメリカ、中国でそれぞれ1社ずつあります。ここで繁殖、飼育されている子は幸せだと思いますか?実は、僕はこの子達が幸せに暮らせているとは思っていません。同時に、自然下で過ごすマーモットたちが幸せに暮らしているとも思っていません。

自然で生きるということは、弱肉強食の世界であること、食料が見つからなければ飢え死にしてしまうということ、これは自然の摂理上、僕も理解しています。ですが、僕は、「世界中のマーモットが幸せに暮らせること」を目的に活動しています。

飼育下でも、自然下でも幸せだと思ってないのに、どうやって幸せにするんだ!と思われるかもしれません。僕の中での、彼らにとっての幸せは、それぞれで生きるメリットを実現させた環境です。

・天敵がおらず、寿命を全うできること
・冬期の食料不足に備えてたくさん食べて蓄えて冬眠したときに、栄養不足で亡くなってしまわないこと
・飼育下でもマーモット本来の生態活動が行えること
・栄養、運動、温度、日光のいずれも十分に与えられること

これらがすべて整ってこそ、マーモットが幸せに暮らせることだと思います。

前提をお伝えしたので、ここから本題に入ります。

僕は、これまで、「世界中のマーモットを幸せにすること」を目的に、密猟問題が深刻な中国のマーモット自然公園や、マーモットの虐待問題が深刻な山東省のブリード施設へ赴きました。そこでは、マーモットの扱いが、想像を絶するほど残酷です。中国国内の文化の違いもあるかもしれませんが、動物好きな人達が集まっているような会社でも、動物に負担を与えるような接し方、振る舞いをしています。マーモットは、強い歯や鋭い爪を持っているため、しっぽを持って運ぶのが当たり前、少しでも動くと振り回して遠心力で顔が手に届かないようにするなど、明らかな身体的、精神的負担を感じているマーモットがほとんどです。

唯一、日本へマーモットが輸出可能な企業は、オランダ、アメリカ、中国にあると先に述べました。中国の企業で、動物を愛している企業でも、上記のような扱いが当たり前になっています。これは文化の違いなので、根本的な解決はできないかもしれませんが、マーモットの負担になるので正しい接し方を気づくたびに伝えています。マーモットのブリード施設には、元気で自由気ままに過ごす子もいれば、隅っこで全身に力がはいったまま怯えている子もいます。本来仲間に危害を加えることのないマーモットでも、怯える子は、仲間すら敵だと思ってしまい、反射的に攻撃をしてしまうこともあります。その結果、体の一部に怪我をしたり、欠損したりしてしまう子もいます。その場合、その子達は、販売ができないと判断されて、販売ができないと判断され、治療を受けることなく、最後の時を迎えます。そういった子は今後どうなるのか、病院には連れて行かれず、そのまま亡くなるのを待つだけにされてしまいます。

僕は上記のような光景や事実を目の当たりにしました。見てしまった以上、知ってしまった以上、目の前の命を放置することはできません。日本の動物医療を受けさせて救いたいという一心で胸がいっぱいになりました。このような子達はたくさんいます。目の前の命すら助けられない自分が、世界中のマーモットを幸せにすることはできません。僕はこのようなハンデのある子を受け入れて、日本の治療を受けさせることにしました。齧歯類の輸出、輸入は非常に厳しい規則がありますが、どれも問題ないことを確認し、無事にその子達は日本に来てくれました。

しかし、ハンデを持った子達は、同じマーモットですら敵だと認識してしまい、とても暴力的になってしまいます。日本の動物医療を受けさせたいという助けたい一心で、自身の貯蓄を切り崩しお世話をしています。それでも、我々人間には心をひらいてくれません。人間=痛みという認識を本能的にしていたんだと思います。それでも諦めず、病院に通い続け、今ではハンデのある子達みんなが無事に回復してくれました。それでも、なかなか距離が縮まることはありません。

マーモットの怪我の様子が写っています。閲覧注意となりますが、次の写真を見ていただきたいです。

 

上の写真はハーちゃん、下の写真はレフトちゃんです。
ハーちゃんは近づくだけ、目が合うだけで、ハーハーと威嚇し、牙を向いてしまうのでハーさん、レフトちゃんは左足に怪我を負っていたので仮の名前で名付けていました。

ハーちゃんは、右前足が欠損していて、レフトちゃんは左後ろ足が欠損しています。どちらも血だらけで、化膿していて、ハーちゃんに関しては通常の2〜3倍に腫れ上がっていました。

約3ヶ月の治療の結果、この子達の怪我はほぼ完治しました。これまでのマーモットに関する活動で、気づけば数百万円近くの支出がありました。しかし、目の前の命を救うことができたので、意味のある遣い方ができたと思っています。

このような子達は、ほんの一部です。海外のマーモットブリーダーは、各国で1社しかないこともあり、販売のためには飼育繁殖を行い、販売できるようになればすぐに売り出します。売り出されたら、その子達が適切な環境に行くのかもわかりません。日本では、既にマーモットを展示している施設がいくつかありますが、先に述べた栄養、運動、温度、日光のすべての条件がすべて満たされた施設は極めて少ないのです。

そのため、海外で販売情報が出されればすぐに、マーモット株式会社さんに協力していただき、買い取って保護することにしています。買い取ったら、そのブリーダーにお金が入り、ずっと続くじゃないかと思われるかもしれません。確かに、これを続ければブリーダーが私腹を肥やし、こちら側が資金が尽きたり、キャパオーバーになると思います。こうならないように、各国の担当行政には、マーモットの密猟問題解決に向けた取り組みの提案、飼育基準の厳正化や、輸出制限を設けるように日々、意見を提出しています。各国の行政が動いてくれるまでは、目の前の命を救うためにも、今の状況を続けなければならないと思っています。

これらの取り組みを、僕とマーモット株式会社さんだけが行っても、資金が尽きたり、キャパオーバーで飼育がしきれないことになってしまいます。そうならないよう、マーモットカフェ「マーモット村」という名前で、マーモットの保護施設を作ろうという決断に至りました。マーモット村で働くスタッフさんたちは、普段から僕のSNS活動を見てくださっている方で、マーモット愛があり、この状況を知ってくださっている方たちです。

マーモットの保護施設とだけうたってしまうと、国内でも珍しい「マーモット」という言葉だけでも怪しいのに、「保護施設」というと、現状の問題を知らない人たちからすると更に不信感を抱かれ、お客様にきていただけないと判断しました。僕自身、学生時代に保護犬・保護猫のボランティア活動をしていたこともあり、「保護」という言葉を使って、よからぬことをする団体を見てきました。そのため、表向きにはこれらの言葉を使いたくありませんでした。純粋にマーモットを愛し、可愛がっておられる方に、このような現実を突きつけてしまうのも自分の中で納得がいきませんでした。

今では、マーモットがより多くの方に認知され、愛され、これらのマーモットの問題に真摯に向き合っていただける方が増えればいいと思っています。そして、マーモットカフェの売上は、この保護施設の維持やスタッフさんへのお給料、今後の保護活動に充てられればと思っています。実際のところ、マーモット村は、マーモットへの負担が少しでも減らせるよう、入場人数を極めて規制しながらも、ふれあいを行わず、離れたところからマーモットたちをみてもらえるようにしています。そのため、利益が得られるかというと、今では施設の維持やこれまでの費用に充てられるかどうかもわからない状況です。しかし、自分たちだけの蓄えでは到底これらの活動を続けることはできません。数人で保護したマーモットたちのお世話をするのも物理的に困難です。

こんな背景や理由があるなら、全部最初から伝えて、活動していればよかったじゃないか!と思われる方もいらっしゃると思います。もちろん、その道も考えました。しかし、先に述べたとおり、学生時代のボランティア活動での経験や、自分自身のマーモットに対する気持ちから、マーモットのネガティブな情報や、目を覆いたくなる現実は、大々的に発信したくありませんでした。

僕は、若い頃にたくさん迷惑をかけてしまった父を、2年前のある日、急に亡くしました。恩返しがしたくて上京し、父の憧れの場所でセカンドライフを送ってもらいたいという気持ちで日々仕事に明け暮れていましたが、恩返しの一つとしてプレゼントした東京旅行時にコロナに罹患し、数カ月後に後遺症が原因なのか、職場で心臓病が発症し、救急搬送先で息を引き取りました。父の通夜、葬儀のときには、自分もコロナを患ってしまい、高齢な祖母がいる葬儀場にも行けず、直接のお別れもできず、逝かせてしまいました。自分も残された家族も絶望のなか、SNSで現れたのが、どこか父の面影を感じさせるマーモットだったのです。いつしか、僕はマーモットと父を重ねていました。家族にマーモットの存在を伝えると、失った笑顔も徐々に戻りました。YouTubeで海外で飼われているマーモットやSNSで国内で飼われているマーモットを見ていたこともあり、僕もマーモットと生活して、小さい頃に見た温かい家族を取り戻したいと思うようになりました。

これらの背景があったため、マーモットに救われている人たちに、マーモットの虐待や密猟の闇を簡単に伝えてしまうと、さらに辛い世界を味わってしまうのではないかと思っていました。僕や家族が絶望のなか、マーモットから生きがいをもらっていたときに、これらの事実を知ってしまっていたら、僕たち家族はすぐにマーモットから目を背け、自分たちが生きることに精一杯になっていたと思います。

以上が、僕が行ってきたマーモットの保護活動と、あえてマーモットカフェという言葉を使い、マーモットの闇を発信するタイミングを考えていた経緯です。このブログを見て、少しでもマーモットの現実を見ていただける方が増えると嬉しいです。ふと、自分の気持ちをアウトプットしようとつづった文章なので、見苦しい文章になっていると思いますが、僕なりの正義、考え方を知っていただけると本望です。

最後に、保護したマーモットのハーちゃんと、レフトちゃんの写真をお見せします。
今では、ハーちゃんは「カステラちゃん」、レフトちゃんは「ココアちゃん」と呼ばれ、スタッフの皆さんから愛をもらって、自由気ままに過ごしています。

マーモット村には、バックヤードにスタッフのみしか入れないマーモット専用の休憩場所を設けています。そこは、マーモットたちが落ち着ける環境にしていて、たくさんのチモシーやかじり木などがおかれ、人の視線を感じません。マーモットラウンジとして、日々表に出る子を考え、午前の部や午後の部などで入れ替わりなども行っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

5月12日(月)午前2時22分

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