MaMo terrace

2026年8月、マーモットの歴史が動きます。
マーモットの啓発・保護活動を目的とする複合型施設「マモテラス」が誕生します。

1F雑貨カフェ「MaMo Café」で、マーモットをもっと身近に。
2Fアートを通じて、マーモットをもっと知り、もっとつながる。
そして、3Fマーモット村を通じて、もっと大切にすることを知る。

マモテラスのキャッチコピーは、
「もっと身近に。もっと知り、もっとつながる。そして、もっと大切に。」

2Fは株式会社TSUBOMI、3Fはマーモット株式会社、1Fは両社によって運営されます。マーモット村同様、施設全体はドクターマーモットが監修させていただきました。

マーモット村とドクターマーモットが共有する理念は、「世界中のマーモットを幸せにすること」です。マーモット村とドクターマーモットで、時には考え方が異なることもあります。それでも、この理念だけは絶対に揺るぎません。

マモテラスは、3フロアで構成されています。1Fと2Fには、雑貨カフェやキッチンカー、アートギャラリーがあります。マーモットたちが暮らすのは、完全予約制で人数制限を行う3Fのマーモット村のみです。

3Fのマーモット村は、中野区野方にあるマーモット村東京よりも、マーモットたちが過ごす空間がより広くなります。日当たりもよく、屋外に出て外気浴や日光浴ができる環境も整備されます。これまではスペースの都合上、2種のマーモットたちしか表に出て、のびのびと過ごすことができませんでした。しかし、マモテラスでは、3種のマーモットたちが、それぞれ自分たちのペースで暮らすことができます。

マモテラスでは、これまでのマーモット村同様、触れ合いを目的とした運営は行われません。人に見せるために、マーモットたちに暮らしてもらうのではありません。彼らが安心して暮らしている日常を、必要な距離を保ちながら見守り、知っていただく場所になってほしいと考えています。

では、なぜ「世界中のマーモットを幸せにする」という理念を実現するために、マモテラスが必要なのか。

それは、マーモットが「可愛い」「面白い」というだけでこのままずっと消費される世界は、間違っていると思うからです。

現在、複数のアニマルカフェや商業施設が、「今、SNSで人気のマーモット」として輸入を始めています。輸入直後にもかかわらず、十分な慣らし期間を設けないまま、展示を始めている施設もあります。その中で、マーモットが亡くなってしまったという話や、施設から逃げ出し、行方不明になってしまったという話も入ってきています。

マーモットが「可愛い」「面白い」とだけ言われる、消費される時代はもう終わるべきだと思います。マーモットは既に多くの人に知られ、その小さな体で、多くの人に癒やしを与えてくれています。だからこそ、次は僕たち人間が、彼らのことを正しく知り、大切にする番だと思っています。

僕は2年以上前から、マーモットには、食事、温度管理、運動、日光が不可欠だと発信してきました。しかし現在も、この4つの最低限の環境さえ十分に整えられないまま、人目にさらされているマーモットたちがいます。

都内のあるアニマルカフェでは、小さな水槽の中で、2頭のマーモットが24時間365日飼育されていました。そこでは、不特定多数のお客さんに対して、触れ合いが提供されていました。

現在は1頭のみとなってしまいましたが、その施設は今も営業を続けています。以前そこで働いていた方から話を聞いたところ、いつ与えられたものかも分からない野菜や、木くずが、そのまま長期間放置されていたこともあったそうです。実際に僕自身が何度か行った時も、このままではいけない、これ以上こういう子たちを増やしてはいけないと感じました。

ほかにも、小さなケージの中で、ずっと金網の上で過ごすことを余儀なくされている子がいます。温度管理が十分に行われないまま、直射日光の当たる施設で複数頭が展示され、最終的には真夏の暑い時期に亡くなってしまった子もいます。

数年前までは、マーモットが今ほど知られていませんでした。多くのマーモット好きも、こうした環境を問題として認識していなかったのかもしれません。ほとんどの施設が同じような環境だったため、それが一般的な飼育方法だと思われていた部分もあったのだと思います。

2025年5月、「マーモット村東京」が誕生しました。

日本初のマーモットカフェとして、多くの方に愛されています。しかし実際には、複数の動物看護師の方々が日々お世話をし、提携する動物病院の獣医師さんと連携しながら、劣悪な環境で過ごしていたマーモットたちを保護する施設でもあります。

マーモット村では、「マーモットファースト」という理念のもと、食事、温度管理、運動、日光という4つの環境が整えられています。そして、触れ合いを行わず、見守ることを基本とした運営が続けられています。

僕は監修者として、マーモットの生態や飼育環境、マーモットとの適切な関わり方について考え、必要な知識や意見を伝えてきました。この1年間、マーモット村は、マーモットとの新しい関わり方のお手本の一つになれていたと思います。

それにもかかわらず、利益や集客のために、人間の都合を優先して触れ合いを行う施設があります。十分な慣らし期間を設けずに公開する施設や、さまざまな動物を扱うアニマルカフェが、新たな集客手段としてマーモットを利用する事例も増えています。

僕やマーモット村は、マーモットを人間の娯楽のために存在する動物だとは考えません。

見たいときに見せる。
触れたいときに触れる。
眠っていても起こす。

そのような関係ではなく、彼らの生活時間や体調、気分を最優先にすることが、当たり前であるべきだと思っています。

僕やマーモット村が共有するマーモットファーストとは、単なる言葉ではありません。たとえ運営上の不利益や売上の減少があったとしても、人間の都合より、彼らの暮らしを優先するという考え方です。

正直に言いますと、4月下旬から始まったマーモットの現実を、直視できない自分がいました。SNSを開くたびに、僕が思い描いていた理想とはかけ離れた光景が、目に飛び込んできました。

マーモットたちが「可愛い」「面白い」というだけで利用されていくかもしれない。そう考えると、これまでのようにSNSで発信することも、なかなかできなくなりました。マーモットの未来にばかり想いを馳せていた、あの頃に戻りたいと思うこともありました。

2026年6月、僕は2年ぶりに、中国のモスカ村を訪れました。モスカ村は、野生のマーモットが観光資源となっている地域です。2年前に初めて訪れ、その様子を「マーモット村」として、たくさん発信してきました。

今のマーモット村東京やマーモット村大阪という名前も、この地域を実際に見て、触れ、滞在し、彼らにとってふさわしい環境だと感じたことが由来になっています。ありがたいことに、今回の訪問も、リアルタイムで見てくださっていた方がたくさんいらっしゃいました。

初心に帰りたかった。
荒んだ心を癒やしたかった。

そのような気持ちで訪れましたが、日本で起きている現状もあり、SNSで積極的に発信しようという気持ちにはなれませんでした。

SNSとは距離を置きたいという気持ちもありましたが、マーモットの生態については正しく知ってほしい。その思いから、Instagramのストーリーでは、正しい知識が広まるように発信しようと頑張りました。たくさんの反響をいただいていたにもかかわらず、途中で続けられなくなってしまったことを、申し訳なく思っています。

今回のモスカ村は、2年前とは違い、数日前から雨に見舞われていました。道中は相変わらずの悪路で、命の危機を感じることもありました。それでも、現地ではマーモットたちが、のびのびと暮らしていました。

久しぶりに感じる空気。
地平線まで広がる草原。
現地のチベットの方々が、笑顔で過ごしている世界。

2年前と変わらない景色も、確かにありました。

しかし、そこで知ってしまった現実もあります。

モスカ村には、名産のジャーキーがあります。2年前に訪れたときも、今回も、道中でそのジャーキーを購入し、美味しくいただきました。

2年前、現地に住むチベットの方々が、マーモットたちの暮らす草原を定期的に歩き回っていました。マーモットたちに異変がないかを確認しているのか。訪問者が悪さをしないように見回っているのか。当時の僕は、そう思っていました。もちろん、それも目的の一つだったのかもしれません。しかし、今回、少し違う現実を知りました。

マーモットは草食動物です。

ウッドチャックは、カナダやアメリカなど標高の低い地域に生息し、ある程度雑食化していることもあります。しかし、アルプスマーモットやヒマラヤマーモット、ボバクマーモットは、完全な草食動物です。自然の中にあるものであっても、草食性の食べ物でなければ、下痢を起こしてしまうことがあります。

今回も、マーモットたちが暮らす草原を、現地の方が1、2名で歩き回っていました。その後、その方たちがいた場所に行ってみると、地面にジャーキーが点々と落ちていました。

その光景を見たとき、2年前から疑問に思っていたことが腑に落ちました。

なぜ、野生のマーモットたちの排泄物が黒いのか。

それが、ジャーキーを食べていたからなのか、はっきりとした因果関係は分かりません。それでも、草食動物である彼らに対して、本来の食性とは異なるものが与えられている現実を見ました。

国や地域によって、動物との関わり方や考え方は異なります。また、マーモットが身近に暮らしているからといって、マーモットに関する正しい知識が自然に身につくとは限りません。

しかし、マーモットが観光資源となり、人間が彼らの暮らす世界に足を踏み入れるのであれば、彼らの生態や暮らしに寄り添った関わり方が必要だと思います。

現地の方々にとっては、ジャーキーは名産です。野生下で餓死してしまうよりは、何か食べられる方がいいという考えなのかもしれません。それぞれの事情や判断があり、僕が簡単に否定できる話ではありません。

ただ、2年前にモスカ村の中心で、毎日僕を迎えてくれていた「村長マーモット」の特等席に、今回はその姿がありませんでした。過酷な自然の中で暮らしているため、何があったのかは分かりません。食べ物との関係があるかどうかも分かりません。

それでも、2年前に僕が「マーモットの聖地」だと感じた場所は、今の自分には、もう同じ聖地には見えませんでした。もっと彼らを幸せにできるはずだと感じました。

モスカ村で起きた旅行会社の車のトラブルや、現地の方に送っていただいた車内で聞いた話もあります。それについては、また別の機会にお話ししたいと思っています。少なくとも今の僕は、すぐにまたモスカ村を訪れたいとは思えなくなってしまいました。

なぜ、ここまでモスカ村の話をしたのか。

それは、世界中のマーモットを幸せにするためには、かつて僕がモスカ村に感じていたような、本当の意味での聖地が必要だと思っているからです。

マモテラスは、その聖地を実現するための完成形ではありません。世界中のマーモットを幸せにするための、最初の大きな一歩です。

僕が本当に実現したいのは、適切な食事があり、天敵から身を守ることができ、十分な温度管理がなされ、リスクのある冬眠をしなくてもよく、十分に運動し、日光浴もできる環境です。

ただし、現在マーモット村で暮らしている子たちには、十分な医療体制も欠かせません。何かあったときに、すぐに検査や治療を受ける必要があります。そのため、日本で最もマーモットに詳しい獣医師さんがいる病院から近い場所でなければなりません。

現在のマーモット村東京や大阪、マモテラスでは、何かあったときに30分以内に検査や治療を開始できる環境が整えられています。

僕一人や、マーモット村だけの力では、理想の場所を実現することはできません。それでも、既に彼らが住みやすいと思える土地は見つかっています。現地行政とも連携し、気候や周辺環境の調査が進められています。

僕個人としても、小さな土地ではありますが取得し、おもちやプク、まもちたちが安心安全に遊び回れる「マーモットラン」をつくれるように動いています。

マモテラスでは、1Fの雑貨カフェやキッチンカーを通じて、マーモットをもっと身近に感じていただく。2Fのアートラウンジでは、マーモットアートを通じて、もっと知り、もっとつながっていただく。そして、見守り型の保護施設である3Fのマーモット村を通じて、命をもっと大切にすることを知っていただく。

これらの想いに共感していただけると、本望です。

現在のマーモット村東京と大阪では、マーモット村の子たちにとって適切な環境が整えられ、のびのびと暮らしています。しかし、目指すべき未来は、今の環境を守ることだけではありません。ゆくゆくは、マーモット村の子たち全員が十分な医療を受け、それぞれのハンデを乗り越え、より理想的な環境で暮らせる未来が実現することを願っています。

ここまで読んでくださった方は、ドクターマーモットの活動やマーモット村を支えてくださっている方々、そして、日々、小さな命を近くで一生懸命守ってくれているマーモット村のスタッフさんたちだと思います。

皆さんのマーモット愛が、この先のマーモットの未来を創ります。マーモットを大切に思う人たちが動かなければ、その未来は残酷なものになるかもしれません。だからこそ、僕自身も含め、今この現実を知る人たちにしか実現できない未来を、共に実現させたいです。

「世界中のマーモットを幸せにすること」は、マーモット村とドクターマーモットが共有する理念であり、僕自身が目指す未来です。そして、実現しなければならない未来です。

その未来が訪れるのが、10年後なのか、20年後なのか。それとも半年後、1年後なのか。それは今、これを読んでくださっている、お一人お一人の想いと行動によって変わると思っています。

皆さんにまで、人生を捧げてほしいとは言いません。ただ、これからもずっと一緒に、マーモットの理想的な未来に向かって歩み続けていただけると嬉しいです。

つたない文章ではありましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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